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サイト2周年の記念に、シキアキ学生パロアップしますー。

もとネタはアレです。(笑)
ジャージでも、いつか書きたいです!
あの臍だしアキラのエロさは、間違いなく犯罪だと思います。(笑)


SSS、折り畳んであります。
学生パロとか苦手な方は、スルーしてください。m(__)m








目の前を、アキラと同じ様に黒い学ランを着た生徒達が歩いている。
学園へ向かう道。
いつもと同じ光景の、いつもと同じ朝。
だがヘッドフォン越しに聞こえてくる音楽は、今朝はアキラの耳を素通りしていた。
気になっていることがある。
否、『気にしている』という自覚はアキラにはなかった。
それでも音楽プレイヤーから流れているはずの曲は、アキラの耳には届かず、先程からずっと呼び掛けられていることにも気付かないくらいには、意識は勝手にアキラのもとを離れ、囚われるかのようにたった一つのことを思い出していた。
「……キラ、アキラってば!!」
ヘッドフォンを外され呼ばれた声に、ようやく声をかけられていたことに気がつく。
「……リン。ケイスケ」
アキラから取り上げたヘッドフォンを片手で器用にくるくると回しながら、大袈裟に不満そうな顔を見せるリンと、リンの隣に心配そうにアキラを見ているケイスケが立っていた。
「何? さっきからずっと呼んでるのもわかんないくらい聞き惚れちゃうような曲な訳?」
言いながら、リンがヘッドフォンを耳に当てる。
「別に、そういう訳じゃない……」
「おはよう、アキラ。アキラ、体調でも悪いの?」
ケイスケがおずおずと訊いてくる。
「いや、大丈夫だ」
アキラの返答はともすれば冷たくも聞こえる素っ気ないものだったが、そんな物言いでもケイスケの心配顔は晴れていく。
「そっか、それなら良かった」
「いいよね、コレ。俺も持ってる。ワタナベカ……げ、マジ?」
アーティストの名を言いかけたリンの口が一瞬にして歪む。
視線はそこに見えてきた校門に注がれていた。
「アキラ、コレ返す。じゃ、また後で!」
ヘッドフォンをアキラに押し付け、今来た道を戻るようにリンは走り去っていった。
「……」
「リン、学校サボる気かな?」
「かもな」
不可解なリンの行動に首をかしげ、再び二人が歩き始めた時だった。
風を切る竹刀の音に、一瞬後れて悲鳴が上がる。
そして聞こえてくる冷酷な低い声。
「……雑魚が」
──っ! 昨日の……。



トシマ学園の新年度の生徒会長が決まったのは先週のことだった。
全校生徒の投票により生徒会長は決まる。
そしてその生徒会長が生徒会執行役員を発表したのが昨日のことだった。
全校生徒の集まるホールの壇上に、新しい執行役員がずらりと並ぶ。
そしてその中に、いた。
アキラには初めて見る先輩だった。
「俺が風紀委員長だ」
他の役員が自己紹介をする中、彼だけが自分で名乗らなかった。
「風紀が乱れるのは、貴様等が負け犬だからだ」
─シキだ。
─カリスマが風紀委員長!?
─最悪だ。
そこかしこで小さな絶望が囁かれ始める。
どうやら、壇上に立つ男のことを知らないのはアキラだけらしい。
「負け犬に容赦はしない。覚悟しておけ」
その言い方が気に入らなかった。
壇上にいる人間以外は、皆クズだ、赤い視線がそう告げているように思えた。
侮蔑の眼差しになぜか無性に腹が立った。
壇上の長身の男を睨み付ける。
「……っ!」
──目が合った? ……いや、気のせいだ。
何百人といる生徒の中で、たったひとりアキラを見ているはずなどない。自分が腹を立てているからそう感じただけだ。アキラはそう自分に言い聞かせた。
それでもその男から目が離せず、役員の紹介が終わり壇上からその姿が消えるまで、アキラはずっと赤い瞳を視ていた。
普段、他人のことなど全く気にしたことのないアキラが、初めて目にした誰かにこれ程までの反応を示した、そのことにすら気が付かないまま……。



そのシキが、今、アキラの目の前にいる。
「……シキ」
無意識に呟きが零れていく。
囁きにも似た小さな呟きが、校門に立つシキに聞こえているはずなどない。
それなのに、赤い瞳がゆっくりとこちらに振り向き、アキラを捉えた。
……眼を逸らせなかった。
視線が絡み合い、刹那の永遠がぶつかる。
そこから先はスローモーションを見ているようだった。
アキラの数メートル先にいたシキが、周りの生徒を竹刀で打ち据え、アキラに向かって大きく跳躍する。
次の瞬間、シキの竹刀の先端は、アキラの喉元にあった。
「派手な色のTシャツにヘッドフォン。……校則違反だ」
「……っ」
シキがほんの少しでも力を加えれば、間違いなくアキラは喉を潰されるだろう。
それでも視線は赤い瞳から外さなかった。
「……ふん、負け犬風情が、俺に歯向かう気か?」
「アンタに負け犬呼ばわりされる筋合いはない」
赤い瞳がすぅっと細められ、形の良い唇が不遜に弧を描く。
「貴様、自分の立場が分かっていないようだな。いいだろう。思い知らせてやろう。貴様が何者なのか」
「……どういう意味だ!」
喉元に突きつけられていた竹刀が外される。
「放課後、生徒会室に来い」
それだけ言うと、シキはもうアキラになど全く興味がなくなったかのように、アキラに背を向け次の違反者を狩りに行こうとする。
「おい! 待てよっ!!」
何故シキを呼び止めたのか、アキラ自身にも分からなかった。
声をかけてから、しまった、と思う。一体、自分はシキに何を言おうとしたのか?
シキがアキラの呼び掛けなど無視してくれることを願った。
だがそんな虚しい願いが叶うはずもなく、赤い瞳がゆっくりとアキラを振り返る。
「……何だ?」
赤い瞳に再び見詰められ、小さく心臓が跳ねた気がした。
「いや、その……。……い、『行く』何て言ってない」
ふっ、と鼻先で笑われた。
自分でも馬鹿らしいことを言ったと思う。
それでもシキに見下されたと思うと無性にイラつき、アキラはシキを睨み返した。
赤い瞳がアキラを視ていた。
じっと……。
「名は何と言う?」
答える必要などない、無視すればいい。そう思うのに、身勝手な唇はアキラ自身の名を紡ぐ。
「……アキラ」
赤い瞳の奥が揺らめいた。
「放課後、生徒会室に来い。いいな。……アキラ」
いっそ甘美にも聞こえる低い声で名を呼ばれる。
どくん、と心臓が大きく震えた。
耳から入り込んだ低い声に、アキラを射抜く赤い視線に。
囚われて動けない。
緩やかにシキの綺麗な口の端が上がり、やがてアキラに背を向け振り返ることなく今度こそ行ってしまう。
それでもアキラはその場から動く事が出来なかった。
長身の黒い背中を、瞬きもせず見送ることしか出来なかった。
耳に小さくこだまする、低いその声を何度も脳裏に反芻させながら……。

『……アキラ』




~fin~


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