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節分
節分でしたねー。
当日になって、気がつく始末…。
もうちょっと、季節感持ちたいものです。

ってなわけで、突然振ってきた哲蓉プチSS。
これまた、Text格納する予定はありませんので(っていうか、SSともいえない位ホント短いし…。苦笑)、こちらに〜。
ホントは、もっと書かないといけないものがあるはずなのに〜〜〜〜〜!!!!
っていうツッコミは、スルーでお願いし…ます。。。。。orz


下に折りたたんでいます。
良かったら、読んでやってください。m(_"_)m




「蓉司。ほら。」
「ん?何だ?」

帰りの電車の中、哲雄から小さな包みを渡された。

「豆。」
「豆!?…なんで、豆?」

片手で握れるほどの小さな包みが、手のひらに乗っている。

「撒くんだろ?豆。」
「だから、なんで?」
「節分。今日。」
「あ…。」

すっかり忘れていた。
だから、今日、クラスメートが恵方がどうとか、東北東がどうとか言っていたのか。
蓉司は、ぼんやりと教室のざわめきを思い出す。
そういえば、睦も、太巻きの丸かじりがどうのこうのと熱弁をふるっていた。
姉が結婚し、一人で暮らすようになってから、季節のこういう行事には、とんと疎くなった気がする。

「母さんが、持ってけって。…。忘れてたんだろ?」

こくりと頷く蓉司の頭に、ぽんと哲雄の大きな手のひらが乗せられた。

「撒いてやる。一緒に。」




「鬼は外。福は内。」

ベランダや、部屋の窓から、大きく外へと豆を投げる。
家中の部屋という部屋に、ぱらぱらと落とす。
豆撒きしたのなんて、いつ振りだろうか?
蓉司には、本当に久しぶりの豆撒きだった。

「残しとけよ。少し。」
「え?何で?」
「食うだろ?年の数。」
「あ!?」
「…忘れてたのか?それも。」
「ああ。」

ふ、と哲雄の表情が緩んだ。

「食おう。一緒に。」
「ん。」

手の中に残っている、僅かな豆を数える。
ざっと数えて、40粒程残っていた。

「よかった。二人分、何とかなりそうだな。」
「ああ。」
「数え年、だったよな。」

ひとつ、ふたつ、と豆を数えながら、蓉司は小さな頃の記憶を思い出していた。
子供の頃、両親と比べて、食べられる豆の数が少ない、と姉と二人で駄々をこねた事があった。
思い出せば、懐かしさがこみ上げる。
楽しい家族の思い出の一つだ。
すっかり忘れていた子供の頃を思い出しながら、蓉司は哲雄を見詰める。
哲雄といると、優しい記憶がたくさん蘇ってくる、そんな気がした。

「哲雄?」

哲雄を見詰めていた蓉司は、哲雄の視線が手許にある、分けられた豆をじっと見ていることに気がつく。

「なんでもねぇよ。」

哲雄に19粒。
蓉司に20粒。
気にしているのだろうか…。
同じ数を食べられないのは、なんとなく淋しい。
分っていはいるが、そこに、埋められない歳の差を感じてしまう。
蓉司は、哲雄の豆を一粒増やした。

「…?」
「同じ数だな。」
「………………っ。違うだろ、数え年。」
「自分の年の数より1つ多く食べると、身体が丈夫になって、風邪を引かないらしい。」
「…じゃあ、俺より、蓉司が食べろよ。」
「俺は、いいよ。」
「どうして。」
「哲雄には、元気でいてもらわないと困る。俺に何かあったら、哲雄が看てくれるんだろ?
 …それに、哲雄がいてくれれば、俺は、元気になれるから。」
「…蓉司。」

優しい声が、蓉司の名を呼ぶ。
蓉司の好きな、哲雄の声。
世界で一番、甘くて優しい。

穏やかな笑みを哲雄に向ける。
二人で食べる節分の豆は、香ばしくて仄かに甘い、優しくて懐かしい味だった。

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